都心から離れ、郊外に住んでいる方は野生動物に遭遇する事も多いでしょう。
中でも可愛い動物として『タヌキ』があげられますが、よく見ると尻尾がシマシマになっていませんか?
その動物…。
実は【アライグマ】なんです!
このアライグマは特定外来生物でありながら日本に定着している動物で、我々の生活に多くの被害を与える事が問題視されているんですよね。
そんなアライグマを見つけたらどうすればいいのか?
今回は【アライグマが引き起こす被害と対策方法】について解説していきたいと思います。
- アライグマが与える環境被害
- 病原菌による感染症
- 見つけた時の対処法
- 被害を抑える対策とは?
特定外来生物【アライグマ】の見た目と影響
見た目は可愛いアライグマですが、その性格には問題があるんです。
アライグマはなぜ日本にいるのか
アライグマは本来、北アメリカ大陸に生息する中型の哺乳類です。
つまり日本にはいない生物だったんですが、1970年代頃から動物園での展示や家庭でのペットとして輸入されました。
当時、放送されていたアニメで人気に火が付いたのが最も大きな理由でしょう。
しかし多くの人は、【アライグマ】という生き物がどんな性格なのかを知りませんでした。
実は
子供の時は人懐っこくてかわいらしいんですが、大人の成獣になると非常に攻撃的で凶暴化していしまいペットとしては向いていない動物なんです。
このため、手に負えなくなって山や森へ捨てる家庭が増え、そのまま野生化してしまったのが主な原因。
実際、アニメでも最後は森に捨てられるんですよ…。
さらに高い繁殖力を持つ事や国内に天敵がいない事から個体数を増やし、日本全国の都道府県に生息していると考えられています。
2005年には、無断での輸入や販売だけでなく飼育も禁止されています。
アライグマの外見は?
私の周りでもそうなんですが、多くの人は【アライグマ】が日本に生息している事を知らないのが現実…。
見かけても【タヌキ】だと思う方がほとんどなんですよね。
しかし、決定的なタヌキとの違いは
- 尻尾が長くて縞模様
- 体毛は灰色っぽい
- 眉間まで黒い
- 指が5本ある
またアニメの影響から、アライグマはオレンジっぽい体をしていると思っている人もいるかもしれません。
この理由は、あくまでも噂なんですが
【あらいぐまラ〇カル】が製作された当時、日本人にはアライグマの存在に馴染みがありませんでした。
このため、製作スタッフが色付けする際に図鑑を調べたんですが、その時に参考にした動物は【レッサーパンダ】だったから。
実際、レッサーパンダも尻尾が縞模様なんで納得できますね。
日本の生態系に与える影響
アライグマは雑食性の動物で、野菜や果実だけでなく以下のような物を食べます。
- 昆虫
- 水棲動物
- 小型哺乳類
- 鳥の卵
特に問題になるのは、日本の在来種である【サンショウウオ】や【カエル】などが捕食される事で絶滅の危険がある事。
さらに他の生物が暮らす巣穴や樹洞を占拠したり、フクロウやサギの巣に住みついたりする被害も報告されているんです。
もともと日本にいない生物なので、在来生物に対して深刻な影響を与えているため【特定外来生物】に指定されています。
農作物を荒らされる被害
農家に与える被害も深刻です。
特に甘いモノを好むアライグマは、ミカンやスイカなどの果実が食べられる被害が続出。
さらに手先が器用で穴掘りも上手な事から、土に埋まっている根菜類さえも簡単に掘り起こして食べてしまうんです。
少しカジられただけでも商品価値はなくなり、収穫量の減少へと繋がるため農家としては死活問題と言えるでしょう。
また家畜用のエサを保存している飼料小屋に浸入し、エサを漁るだけでなく糞尿をまき散らす事で衛生面での被害も深刻なんです。
このため、農業従事者にとってアライグマ対策は必要不可欠な課題と言えます。
人間に与える感染症の危険性
気性が荒く攻撃性が高いアライグマは、人間でさえも襲いかかる事があります。
このため、見つけても絶対に近づかない事!
万が一、攻撃で傷を受けた場合に起こる被害は
- アライグマ回虫症
- レプトスピラ症
- 狂犬病
- ダニの寄生
これらの感染症が起こる可能性があります。
アライグマ回虫症
アライグマに寄生する【アライグマ回虫】の卵が体内に侵入する事で発症する感染症。
感染しているアライグマの腸内で成長し、糞と共に毎日『数百万個』の卵が排出されていると言われています。
このため、アライグマの糞に汚染された土や水からの摂取や、ホコリと共に空気中に舞い上がって人間の体内に感染する可能性があります。
その症状は
- 発熱
- 頭痛
- 嘔吐
さらに進行すると、脳や目の中に回虫が移動し視力障害を引き起こします!
今のところ日本での感染例はありませんが、アメリカでは死亡例もある事から注意が必要です。
レプトスピラ症
主にネズミなどのげっ歯類が保有している【レプトスピラ菌】が引き起こす感染症です。
コチラも排泄物に含まれる事が多く、汚染された土や水以外にも空気感染する事にも注意が必要。
主な症状は
- 発熱
- 頭痛・筋肉痛
- 黄疸
軽度な症状で済む事もありますが、重度になると出血や腎機能障害を伴う【ワイル病】にまで発展する可能性もあります。
直接襲われなくても、存在するだけで病原菌をまき散らいしているんですよね…。
狂犬病
もっとも恐ろしいのが【狂犬病】のウイルスを持っている事でしょう。
名前に犬という字が入っていますが、野生動物であるアライグマも保有している可能性があり、噛まれたり引っかかれたりする事で感染してしまいます。
その症状は
- 発熱や食欲不振
- 興奮や幻覚などの精神錯乱
- 呼吸器障害
潜伏期間が長くすぐには発症しませんが、一度発症してしまうと現代医学では治療不可能で致死率は100%です!
感染しているアライグマは攻撃性も上がっているため、襲いかかられると回避するのは不可能と言えるでしょう。
ダニの寄生
屋外で生活しているアライグマの体には、多くのダニが生息している危険性があります。
もし天井裏などに住みつかれたりすると、ダニたちが室内に侵入する事になりかゆみやアレルギーといった症状が現れます。
中でも恐ろしいのが
- マダニ
- ヒゼンダニ
マダニはペットや人間の体にも寄生し、数日間に渡って血を吸い続けるんです。
無理に取ろうとすると体内に残ってしまう事が多く、さらに恐ろしい感染症も持っている厄介な存在。
さらにヒゼンダニは、人間に寄生すると【疥癬(かいせん)】という症状がおこります。
これは皮膚内の角質層に侵入し、全身に発疹やかゆみを発症させる恐ろしい病気!
さらに人から人への感染もおこり、家族全員に被害が広がってしまう恐れもあるんです。
免疫力を低下させることもあり、子供やお年寄りがいる家庭では特に注意が必要。
アライグマを見つけたらどうしたらいい?
実際にアライグマを見つけた場合の対処法について解説します。
ただし、感染症予防のためには細心の注意を払う事!
自治体や保護団体に連絡
特定外来生物であるアライグマは、自治体としても駆除すべき存在であり対応してくれます。
しかし公共施設ならともかく、個人宅となると駆除は行ってくれません。
このため以下の対応となる事が多いんです。
- 駆除業者の紹介
- 捕獲機の貸し出し
業者を紹介された場合、費用は全額負担であり控除や補助金なども出ない地域が多いでしょう。
そして捕獲機を貸し出された場合、設置は自分で行う必要がありアライグマの習性や侵入ルートを特定していなければ難しいのが現実。
また捕獲に成功しても勝手に駆除する事は出来ず、自治体の指定する回収日に引き取ってもらう事になります。
また、地域によっては動物保護団体も存在しています。
ボランティア団体もありますが、個人的には共益財団法人の保護団体に依頼する方が良いかと…。
自分で出来る駆除の方法
アライグマは駆除すべき存在ではありますが、自然動物は【鳥獣保護法】で守られているため勝手に駆除する事は禁止されています。
このため適切な手続きが必要となります。
その手順は
自分が住んでいる地域の市役所や保健所に連絡し、駆除するための申請をする必要があります。
被害状況や被害区域などの書類を提出し、許可を得ましょう。
許可が降りたら捕獲を開始しますが、主な方法は網・罠・銃の種。
中でも簡単なのは罠で、自治体によっては貸出も行ってくれます。
しかし、いずれの方法も原則的には【狩猟免許】が必要。
捕獲したアライグマは、捕獲者が責任を持って処分する事が義務です。
この場合、単に処分するだけでなく苦痛を与えない事も大事!
多くの方は精神的に耐えられない事が多いでしょう…。
自治体によっては引きとてくれるケースもありますので、申請する時に処分についても聞いておくと安心です。
せっかく駆除しても、再び現れては意味がありません。
このため、駆除以上に侵入経路を封鎖する事が大事です!
10cm程度の穴からでも入ってくるため、家屋を徹底的に調べて隙間を埋めるようにしましょう。
先ほども解説した通り、アライグマの排泄物からでも病原菌に感染する恐れがあります。
このため、本体の駆除だけでなくその後の消毒は必須!
リスクを避けるためには、マスクや手袋などの徹底した感染予防も大事です。
以上のことから、自分での駆除は素人にとってはハードルが高いのが現実…。
そんな場合は、迷わずプロに依頼したほうが無難でしょう。
専門の業者に依頼して駆除する
自治体が紹介してくれる委託業者は、若干ですが料金設定が高くなる傾向があります。
このため、自分で業者を探して依頼したほうが安く済むケースも存在するんですよね。
しかし、安いだけで簡単に選ぶのは危険です!
業者選びのポイントは
- 駆除実績がある事
- 見積もりが明確な事
- アフターフォローがある事
というのも、アライグマは警戒心が高く完璧に駆除するのは難しいのが現実。
現れたアライグマを駆除しても、その後の対策を怠れば再び出現する可能性もあります。
それ以外の、糞尿の清掃や消毒といったアフターケアも必要なんですよね。
中でもおすすめしたいのが【害獣駆除110番】です。
全国展開していて、スピーディーな対応から人気の業者と言えるでしょう。


アライグマの被害を抑える対策
アライグマ対策の一番の方法は
アライグマを寄せ付けない事!
このためには、いくつかの予防対策があります。
エサになるものを放置しない
アライグマも生きていく上では食べ物が必要です。
しかも食べ物に対する執着心が高く、一度いい餌場を見つけると何度もやってくる習性があるんですよね。
このため、食材の管理は徹底するようにしましょう。
具体的には
- 生ゴミを屋外に放置しない
- ゴミ箱は蓋付きにする
- ペットフードは食べる量だけ
ぶっちゃけ、アライグマの見た目は可愛いため稀にエサを与える人も存在するようです…。(年配の方に多い傾向)
こんな事をしてしまうと、居着いてしまう原因となりますので絶対にやってはいけません!
もしも、ご近所で見かけたら注意するようにしましょう。
家屋周辺を整備する
本来、森林地帯に生息するアライグマにとって、草木や雑木林は快適な環境と言えます。
このため、定期的に剪定を行うなどの整備をするのが効果的です。
また、食べ物を求めて家屋へ浸入してくる事を防ぐには
- ドアや窓を閉める
- 室内に通じる隙間を埋める
- 通気口には金網を設置
手先が器用なアライグマは、適当な設置では簡単に破って侵入してくるためガッチリとハズレないように設置する事が大事です。
農家の方は畑を守る必要があります。
このため
畑の周りにはフェンスを設置し、出来れば害獣除けの電流柵を設置しておきましょう。
また収穫時には、早めに農作物を収穫する事も効果的です。
定期的に忌避剤を撒く
市販されている忌避剤には、アライグマが嫌がる成分が含まれていて近づかせない効果があるんですよね。
その種類は様々で
- 燻煙剤
- 固形剤
- 超音波
- 臭い成分
しかし、アライグマは知能が高く効果は永久的ではありません。
このため、忌避剤を組み合わせたりローテーションしたりする工夫が必要です。
アライグマを見つけた時の対策法
見た目が可愛いアライグマ。
本来、日本には生息してはいけない動物である【特定外来生物】であり、我々の生活に多くの被害を与えることになります。
このため、もしアライグマを見つけたら
- 絶対に近づかない
- エサを与えない
- 自治体・業者に連絡
- 被害を抑える対策をする
以上の方法でアライグマの被害から家庭を守りましょう。


コメント