昆虫界トップクラスの飛行能力を持ち、一撃必殺の毒針と強靭な大顎。
個々の戦闘力が高い上に集団で襲いかかる事から、最強の昆虫と呼べる存在であるスズメバチ。
しかし厳しい自然界では、最強といわれるスズメバチでも負ける相手は存在します。
地球上で最も恐ろしい昆虫であるスズメバチに対抗できる生物たち、その正体とは一体何者なのでしょうか?
自然界の生存競争とは、我々の想像をはるかに超えた壮絶バトルなんですよね。
今回は、最強の昆虫である【スズメバチの天敵】について解説していきたいと思います。
- 内部から破壊する寄生虫
- ライバル関係にある昆虫
- 捕食する鳥類
- 知恵と力で勝る哺乳類
スズメバチに宿る寄生虫
スズメバチよりも体の小さい寄生虫は、気づかないうちにスズメバチの体内や巣に侵入し内部から破壊します。
中でも、以下の4種には一方的に負ける事になるんです。
- スズメバチタマセンチュウ
- スズメバチネジレバネ
- カギバラバチ
- ギンモンシマメイガ
その能力を順に解説していきましょう。
スズメバチタマセンチュウ
北海道で発見された寄生虫。
スズメバチの中でも
- オオスズメバチ
- キイロスズメバチ
- チャイロスズメバチ
以上の3種に寄生が確認されています。
その恐るべき能力は
冬眠中の女王蜂に寄生して卵巣機能を破壊して卵を産めなくする事!
つまり働き蜂を増やす事が出来ず、巣を繁栄させる事自体ができなくなってしまうんです。
最強のスズメバチであっても、女王蜂1匹だけでは簡単に駆除されてしまう事になるでしょう。
特に人間に対して被害の多いオオスズメバチとキイロスズメバチの2種に有効な事から、人工的にスズメバチタマセンチュウを寄生させて個体数を管理する研究が進められています。
冬眠中に寄生させる事がポイントですね。
スズメバチネジレバネ
ウジのような体をした寄生虫。
樹液が多い木で待ち伏せ、食べにきたコガタスズメバチによく寄生するのが特徴です。
その恐るべき能力は
宿主を長生きさせるためコントロールして働かなくさせる事!
つまり働き蜂が働かなくなり巣の機能が低下し、存続していく事が難しくなってしまうんです。
強靭な大顎や毒針も、全く機能しなくなるって事…。
そして一般的にスズメバチは、女王蜂以外は冬眠できません。
しかしネジレバネに寄生された働き蜂は、体力が温存されているために女王蜂と一緒に冬を越す事になります。
繁殖が終わった巣を駆除すると、寄生された生きている働き蜂が見つかる事がよくあり、この時にお腹からネジレバネが頭部を出した状態で見つかる事が多いんです。
カギバラバチ
体長は1cmほどの小さな蜂で、狩蜂(かりばち)であるスズメバチとは違い寄生蜂(きせいばち)というグループに属します。
お腹がくびれていて、お尻の先が鍵のように曲がっている事からこの名前がつきました。
その恐るべき能力は
スズメバチの巣に潜入し、産まれた幼虫たちを食べ尽くす事!
でも、どうやってスズメバチの巣に潜入するのか?
カギバラバチの寄生方法は独特です。
まずアオムシが好む葉に卵を産み、食べたアオムシの体内に寄生。
そこへスズメバチが襲来し、アオムシを肉団子にして巣に持ち帰ります。
肉団子を食べた幼虫の体内で孵化し、内側から食い破り巣の内部にいる幼虫を食べ尽くします。
つまり、2回も寄生する必要があるって事。
まずはアオムシに食べられる事が第一の条件であり、肉団子にされる時に卵が潰されない事が第二の条件なんですよね。
運よく2匹のカギバラバチの幼虫が巣に潜入した場合、お互いが攻撃しあって生き残るのは1匹だけ…。
自分以外は、全て食べ尽くすという恐ろしさも持っています。
ギンモンシマメイガ
美しい模様を持つ、体長が2cmほどの小さな蛾。
成虫は米などの穀物を食べますが、天敵となるのは幼虫です。
その恐るべき能力は
スズメバチの巣を食べてボロボロにする事!
ギンモンシマメイガは、蜂本体を食べるのではなく巣を食べるのが特徴。
まずスズメバチが寝静まった夜、巣の外皮に卵を産み付けます。
その後、孵化した幼虫は巣の内部に潜り込み内側から巣盤を食べてボロボロにしてしまうんです。
こうなるとスズメバチは、大事な巣を拡大させることができなくなってしまします。
人間で例えると、家屋を食べてボロボロにするシロアリみたいな存在と言えるでしょう。
駆除された巣から、ギンモンシマメイガの幼虫が発見されるケースも多いんですよ。
危険なハチ被害を迅速に解決!【ハチ110番】スズメバチに勝てる昆虫
同じ昆虫界でも天敵は存在します。
しかしこのクラスでは勝ったり負けたりの関係で、いわばライバル的な存在と言えるでしょう。
オニヤンマ
体長が9〜11cmほどの大型のトンボ。
蜂と同じく黄色と黒の縞模様をしていて、他の昆虫を襲う獰猛なハンターです。
その能力は
昆虫界でトップに君臨する飛行能力!
ホバリングや急旋回はもちろん可能で、飛行時の最高時速はなんと80kmにも達します。
このスピードがあれば、飛んでいるスズメバチに後ろから簡単に追いつく事が出来るんですよね。
空中で追いついたオニヤンマは、トゲの付いた足でホールドして動きを封じ、強靭な顎でバリバリと捕食します。
スズメバチ以外の昆虫たちからも恐れられ、虫除けにストラップのおにやんま君としても販売されている程の実力を誇るんですよ。
シオヤアブ
体長が2〜3cmほどのアブの一種。
見た目は蜂っぽいですがハエの仲間であり、アブの中でも最も獰猛と言われています。
その能力は
背後からの奇襲攻撃!
葉の上などに潜み待ち伏せ、近くを通った昆虫を背後から襲うのが得意戦法。
実はアブって、トンボやスズメバチに匹敵するほどの飛行能力を持っているんです。
そして奇襲を得意とするため、体の大きなスズメバチでさえ不意打ちを喰らうと殺られてしまうんですよね。
しかもアブの捕食はバリバリと食べるのではなく、太い口器を差し込んで体液を吸ってカラカラにしてしまうんです。
なかなか残酷…。
オオカマキリ
体長は7~10cmほどで、昆虫界最強の捕食者であるオオカマキリ。
その能力は
自然環境への擬態と、2つの大きな鎌!
草木と同化するように紛れ込み、高い精度とスピードで一瞬で捕獲します。
強靭な鎌で捕えられたスズメバチは、体を押さえつけられて逃げる事は不可能で捕食されてしまいます。
ただし大カマキリは空中戦ができないので、逆に空から攻撃されると一方的にやられてしまうでしょう。
他のスズメバチ
同じスズメバチ同士でも敵になるケースがあります。
オオスズメバチは、秋ごろのエサが少なくなってくると他のスズメバチの巣を襲い幼虫やサナギを捕食します。
またチャイロスズメバチの女王は、初期段階のキイロスズメバチの巣に乗り込み相手の女王蜂を殺して巣を乗っ取るんですよね。
あまり見かける事はありませんがチャイロスズメバチというのは、スズメバチの中でも最も外殻が硬く毒成分が濃いんですよ。
詳しいスズメバチの生態については下の記事で詳しく解説しています↓↓↓
スズメバチを捕食する鳥類
多くの鳥類は肉食で、昆虫たちを捕食します。
中でもスズメバチにとって脅威的なのは2種類。
モズ
体長は20cmほどで、スズメよりも一回りほど大きな鳥です。
小さな猛禽類の異名を持ち、昆虫達にとっては恐ろしい敵と言えるでしょう。
私が少年時代、ジャンプで連載していた【サバイビー(作:つの丸)】という漫画があったんですが、作中でも恐ろしい敵として描かれていましたね…。
モズの戦闘は、木の枝から地上を監視し獲物を見つけると急降下して襲いかかります。
捕えた獲物を木の枝などの尖った場所に串刺しにするはやにえと呼ばれる習性は、他の昆虫だけでなく人間にとても恐怖を感じる行動と言えるでしょう。
中には、生きたまま串刺しにされている昆虫もいるほど!
この行動には諸説ありますが、保存食にする場合もありますが放置されている事も多いんです。
巣を襲うような事はありませんが、単独行動をしているスズメバチは簡単に捕食されてしまいます。
ハチクマ
鷹の一種であるクマタカに似た姿をしている鳥類。
蜂を好んで食べるから【ハチクマ】と言う名前が付いたようです。
その能力は
スズメバチの攻撃を無効化する事!
現在でも解明されていませんが、ハチクマは
- 硬い羽毛が毒針を通さない
- 毒そのものが効かない
- 戦意喪失する臭いを出す
などの諸説がありますが、いずれにしてもスズメバチの攻撃は全てハチクマには効きません!
全てが真実なら、スズメバチにとって本当の天敵と言えるでしょう。
しかも直接襲うだけでなく、土の中に埋まっているオオスズメバチの巣でも掘り返し
スズメバチの巣ごと持ち去り、幼虫たちを産まれたヒナの餌にしてしまうんです!
ただ、残念な事に絶滅危惧種に指定されているほど生息数が少なく、スズメバチの巣を駆除する事に使えないのが残念な所。
スズメバチを力と知恵でねじ伏せる哺乳類
最後に登場するのは、われわれ人間を含む哺乳類です。
卓越した身体能力と、培われた知能はスズメバチを圧倒する事が可能なんです。
熊
大型哺乳類で、鋭い爪とパワーで食物連鎖の上位に位置する熊。
雑食性で何でも食べるため、スズメバチといえども例外ではありません。
その能力は
成虫のスズメバチはもちろん、幼虫やサナギだけでなくスズメバチの巣でさえ食べるてしまう事!
熊は獲物に対する執着心が高く、一度ロックオンしたら絶対に逃がしません。
特に冬眠前の熊にとって、スズメバチの巣はローヤルゼリーなどの栄養価が高くて魅力的なんです!
もちろんスズメバチも反撃しますが、熊は分厚い皮膚と固い毛に覆われていて毒針を通さないため意味がありません。
皆さんも
スズメバチは黒い物に反応する!
って聞いた事があるでしょう?
この噂は、天敵である熊が関係しているんです!
スズメバチが勝つには、目や鼻などをピンポイントで攻撃するしかありません。
人間
スズメバチにとって、最大の天敵が人間でしょう。
毎年のように蜂に刺されて無くなる人は存在しますが、進化の過程で身に付けた免疫力と対応力は他の生物を遥かに上回ります。
特に優れるのが
知恵と技術の進化!
スズメバチに対応した【薬剤】や【道具】には勝てないんです。
実際、被害に遭うケースは対応できていないケースがほとんどですから…。
特に駆除専門業者となると一方的です!
豊富な知識と経験から、最強のスズメバチですら為す術なく駆除されてしまう事でしょう。
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